2015/2/1 別府大分毎日マラソン(フル) inserted by FC2 system




再び別府大分毎日マラソン出場へ
 サブ3.5ランナーだけに出場が許される別府大分毎日マラソン。 昨年出場し、その素晴らしさに触れたのだが、残念ながら足を故障した状態だった。 友人と2人で参加し、共に完走を果たし、かけがえのない思い出となった事は事実だが、正直タイムは物足りなかった。 次回こそ万全な体調で出場したい。 妻に言ったら、出場しても良いとの事なので、再び参加することにした。 ところが、今年からカテゴリー3は定員制で先着順だという。 まあでも、いくらマラソンブームとはいえ、別大が初日で定員に達するとは思えなかった。 申込は9月1日からであるが、その前に航空券が発売となる。 少しでも安い切符がいいので、大会申込完了前に航空券を購入・決済した。 9月1日は平日のため、妻に頼んで10時に申込んでもらった。 宿も確保した。 あとは練習を積んで、目標の3時間10分を目指すだけだった。
 2014〜15年のマラソンシーズンの始まりは早かった。 最初のレースは、何と9月、榛名湖マラソンだ。 そもそもこの年は6月末に立山登山マラニックがあったため、夏前に結構走りこんだ。 お蔭で9月は調子が良かった。 ビルドアップ走では、23→22→20.5をこなせたばかりか、ラスト5qで20分を切るという快走だったし、3q走(タイムトライアル)でも11:15とタイムを伸ばした。 そんな中出場した榛名湖マラソン。 アップダウンが非常に激しいので、タイムを目指す大会ではない。 練習と能登和倉の悪夢払拭の為に出たのだが、いい気になって坂を下っていたら、膝を痛めてしまった。 11月頭の湘南国際マラソンは、膝の不安と暑さから3時間20分と自己ベストには程遠く、秋の本命「つくば」も風邪をひいてしまって3時間13分だった。 もう今シーズン、自己ベストは出ないのでは、そう思ってしまって、食生活にも油断が生じた。 12月の奈良マラソンは、アップダウンが激しいコース。 体重も重いし、いいタイムは無理だろうと思っていたが、思ったより速く、3時間16分だった。 結果自体は悪くなかったのだが、これがまた油断を招いた。 なんだ、体重が重くても、思ったより走れるじゃないかと。 だが、それは本来間違い。 減量の意識が高く持てないまま、別府大分の本番を迎えてしまった。 おまけに、昨年の秋から続いている膝の痛みが解消していなかった。 よってポイント練習もできず、なんとも中途半端な状態で大会を迎える事となった。



大分入り
 昨年は敦賀から往復陸路で大分入りしたが、今年は飛行機。 羽田11時の飛行機で大分に行く。 土曜の朝8時過ぎ、妻・娘に「頑張ってね」と言われ、出発する。 正直、自己ベストは厳しいんじゃないかと思いつつ、精一杯がんばるよ、といって家を出る。 飛行機は満席。 パッと見、半分以上がランナーだ。 しかも、満席どころが予約が多すぎて2人ほど後の便に移ってくれないかと言っている。 だが、次の便では受付時間に間に合わない。 間に合わないから次の便には空席があるわけだ。 変更希望者、1人はすぐに現れたが、二人目が現れないまま、自分は機内へ。 やがてすべての席が埋まり、無事に大分に向けて出発した。
 飛行機が大分に着くのは12時45分なので、できれば機内で昼食を食べられればと、おにぎりを3つ買ってきた。 だが、誰も何も食べないので、恥ずかしくて食べずに飛行機を降りる。 空港から北浜までは空港連絡バスだが、こちらも満席のため、おにぎりは食べられなかった。 空腹のまま北浜に到着、ここから受付会場のビーコンプラザまで、シャトルバスだ。 バスを待つ間に、おにぎりを1つ食べる。
 ビーコンプラザに着くと、まずは受付。 欠場だが、ゼッケンだけは欲しいという人が居て、またその人が代理人による依頼だったため、手間取って少し待たされる。 受付が終わると、ランナーの広場へ。 500円分の食事券がついているので、何か食べたい。 だが、手元にはおにぎりが2つ残っている。 それを先に食べれば良かったのだが、ついカレーに目が行って食べてしまう。 また、せっかくなので唐揚げも食べ、更にバナナの無料配布もあり、さすがにお腹がいっぱいになった。 おにぎりは夜に食べる事にする。
 一旦駅に戻り、温泉に行く。 大会プログラムに温泉無料券が付いている。 といっても、有料でも100円なのだが。 駅から近い不老泉に行く。 熱湯(あつゆ)に入って汗を流す。 風呂上りに体重を測ると、54.9kg。 満腹時であり、思ったほど重くないなと思ったが、熱湯の後だけに喉が渇いていて、風呂上りに500mlのペットボトルを飲み干したから、実質55.4kgだろう。 JRで別府から大分に行こうと思っていたが、駅に着くと電車が行ったばかりであった。 ならばと、再びビーコンプラザへ行く。 もう16時を過ぎていて、人がだいぶ少ない。 駅からのシャトルバスは、少し待ったが座れてビーコンプラザへ。 中を覗こうとも思ったが、大分行きのバスがすぐ出て、今なら座れるというので、そのまま乗車。 今日の移動は、さして待たされることも無く、全て座って移動できた。 バスは、明日のスタート会場、うみたまごを通過する。 昼過ぎ、雨が降ったのだが、すぐに止んだ。 昨年はテントの一部が濡れていて困ったが、今年は大丈夫であろう。



大分のホテルにて
 大分には17時頃着いた。 少しホテルで休んだ後、夕食に行く。 またカレーが食べたくなり、吉野家に行く。 店内の半数はランナーだった。 そのほとんどが牛すき鍋を食べている。 いちばんびっくりしたのが、市内をウォーミングアップしているランナーの多さだ。 前日に走るってことは、相当足の耐力が強くて、心肺能力を使って走る、いわゆる速いランナーなんだなと思う。 自分は、歩くのも控えて、耐力を温存しないと、明日42q走りきれない。 帰りにコンビニに寄って、明日のおにぎりを買う。 ここでアミノ酸飲料を持ってくるのを忘れた事に気付く。 コンビニには無く、いったんホテルに帰ってドラッグストアの場所を聞き、何とか購入。 また、明日はチョコをもって走る予定のため、再びコンビニに行く。
 カレーを食べて、結構お腹いっぱいだったのだが、まだ昼のおにぎり2個が残っていたので、つい食べる。 これが余計だった。 大浴場に行って体重計に乗ると55.9kg。 風呂上りに測ったら55.4kgだったが、これは水を飲めば増えるだろう。 結局、奈良マラソンから減量できなかった事になる。 理想体重より3kg重い。 まあ仕方がない。 現実を受け入れて走ろう。
 する事も無いので、その晩は早く寝たのだが、興奮しているのか3時に目が覚める。 少しうとうとしていたが、5時になったら、もう眠れない。 風呂に入って6時50分に朝食。 迷うのが朝食の量だ。 別府大分毎日マラソンは給食が無い。 持って走るのもなんだし、多めに食べる事にする。 やはりガス欠が心配だった。 ただ、朝たくさん食べたからと言って、レース前に食べなくてもいい訳ではない。 ご飯を茶碗2杯と、パスタサラダを山盛り。 今にして思えば、食べ過ぎであった。
 部屋に戻ってトイレへ。 時間的に大が出るはずだが、出ない。 まずい、便秘だ。 思い返してみると、昨日の夜から水分の摂取が足りなかった。 まだ間に合うかと思い、ここから水をがぶ飲みする。 何とか大が出たが、今度は小便が止まらなくなった。



会場へ
 そうこうしているうちに9時半になった。 駅から会場までのシャトルバスは10時が最終。 なるべく遅く会場に入ろうと思っていたので、9時40分頃部屋を出る。 ホテルからは、シャトルバス乗り場と、乗り込んでいる人が見える。 どうやら行列はなさそうだ。 エレベータの中でランナーと会い、話しながらバス停へ向かう。 自分が「去年は5qでビリだった」と話したら、その人も「10q関門を降ろされかけたが、くぐり抜けた」という。 似た者同士だ。
 ホテルから見ていた通り、バスは待たずに乗れ、会場まで20〜30分と言っていたが、渋滞も無く15分で着く。 会場に着くと、やはりワクワクしてくる。 まずはスタート地点に移動。 気持ちが高ぶってくる。 我々カテゴリー3の更衣室は、道路を渡った側のテントまたはバス。 昨年は前日の雨でテントの一部が濡れていたためバスが人気だったが、今日は晴れている。 バスもがらがら、テントも余裕たっぷり。 でもやはり足を伸ばして座りたかったので、テントに荷物を置く。
 まずはトイレ。 昨年もそうだったが、仮設トイレの台数が多く、全く行列が無いのが素晴らしい。 現時点の気温は6℃と高くないが、陽が出ている影響か、思ったより寒くない。 だが、雲はそれなりにあり、時間によって晴れたり曇ったりである。 曇ると寒い。 この見極めが重要だ。 暑かった去年は、アドバンスのノースリーブを着て走ったが、今年は寒いと思われるので、半袖(アドバンス女性用)を着るつもりであった。 問題はアームウォーマー。 寒かった奈良マラソンでは、アームウォーマーを付けたままゴールした。 今日はどうだろうか。 意外に暖かいので、要らないかも知れないと思う。 ズボンも2種類用意していた。 普段履く、アシックスのインナー付短パンと、膝下までのズボン。 短パンの下に膝下までのズボンを履いていたので、荷物預け直前に判断すればいいやと思った。 この大会は、シリアスな大会だけに給食が無い。 最近はレースで給食しないケースが増えてきた。 昨年の榛名湖やつくばでは、何も給食せずに走った。 ただ、それは結果的に何も食べなかっただけであって、いずれの大会も給食は豊富だった。 元々無いのと、取らないのは意味が違う。 いざという時に不安なので、チョコを持って走ろうと思った。 まだ、朝のご飯とパスタが胃の中で踊っていたが、この時間に食べない訳にはいかない。 持ってきたおにぎりと、アミノ酸入りゼリー飲料を飲む。 と、また尿意が。 さっき行ったばかりなのに。 本当に、トイレ行列が無い大会で助かった。 テントに戻って、おにぎりをもう一つ食べる。 会場に来て、計3個。 腹いっぱいになったと同時に、今度は大が出そうな雰囲気。 時間はあるし、トイレ行列は無いので、またしてもトイレへ。 大して出ないだろうと思ったが、時間を掛けて踏ん張ったら結構出た。 このタイミングで、これだけでてくれれば、軽量化に一役買う。
 さて、いよいよスタートが迫ってきた。 服装は決めた。 上は半袖(アドバンス女性用)、アームウォーマーなし、下はアシックスのインナー付短パン。 ただし、念のため、手袋はする事にした。 後半、もし失速て冷えた時、陽が出ていないと低体温になって、リタイヤのリスクがあると思った。 もちろん、失速するつもりは無いが。 靴はもちろん、匠sen。 本番で履くのは、前回のつくばに続いて2回目だ。 荷物をまとめ、会場に来て4回目のトイレを済ませてから荷物を預ける。 いい加減、もう出ないだろうと思ったが、まだ尿が出る。 よほど朝飲み過ぎたんだなと思う。 荷物は、自衛隊のトラックで運んでもらう。 預けのピークだったので、トラックの前に荷物を置いた。 さて、あとはスタートするだけだ。 プレラインナップまで、あと10分あったので、念には念を入れ、またトイレに行く。 会場に来て5回目だ。 さすがに、この時間だと行列無しという訳にはいかないが、それでも5分待ちだ。 できれば、もう尿が出きっていて、今回は出ない状態がいいなと思っていたが、それでも少し出た。 だが、ほんの少しだったので、走っている間にしたくなることは無いなと思って、ほっとした。



いよいよスタート
 11時40分にプレラインナップの列に加わる。 番号ごと、厳密に指定されているのだが、路面に表示がしてあるわけではないので、マス目のように並ぶのは不可能だ。 それでも、ほぼゼッケン番号順に整列する。 もちろんタイム順だから公平だ。 12時15分くらい前になると、国道の車がいなくなり、スタート地点へ移動する。 プレラインナップの位置より道幅が広いので、横長になる。 自分はスタート直後にテレビカメラの下を走ろうと、進行左寄りに進む。 去年より450番ほど番号が若いので、多少前からスタートできる。 思ったよりスタートが近い。 スタートロスは30秒くらいかなと思った。 ただ、この大会はグロスしか計測が無い。 去年は、スタートラインを越えたところでもラップを取ったが、今年は完全グロスで勝負しようと思った。
 12時ちょうどに号砲が鳴る。 もちろん、号砲と同時に時計を押す。 ほどなく全体が前に進み始める。 スタートラインを越えたのは二十数秒だっただろうか。 はっきりとは分からなかった。 その先、3車線道路の一番左の車線の上あたりにテレビカメラがある。 自分は、ちょうどカメラの下あたりだ。 みなカメラに向かって手を挙げて走るので、我々のあたりだけ前が詰まって渋滞となった。 それでも3車線道路、おまけに速い人ばかりだから、スタート渋滞はわずかだった。

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 さてレースプラン。 いつも通り、5q24分、10q47分で入るつもりだ。 その後、次第にあげ、15qからはキロ4:20、すなわち5q22分を切るラップで走る事にしている。 ベストを出した湘南や去年のつくばは30q過ぎにタイムが落ちていったが、落ち込みを少なくすれば3時間10分を切る事が可能なラップである。 1qの通過は5:22。 ただ、スタートロスとちょっとした渋滞があったので、最初の1qは気にしない。 気になるのは2qのラップ。 時計を見ると4:49。 まだ2qだから、こんなもんだろう。 去年は、一気に周りに置いて行かれ、気が付くと最後尾だったが、今年は少し前からスタートしているので、そこまでではない。 それに、10qと15qの関門が緩和された影響もあるだろう。 予想に反して、自分より遅い人もいない訳ではない。 そうはいっても、やはり前へ前へという人が多く、自分は遅いほうだ。 だが、それでいい。 いずれ抜き返してやろうと思う。 その後、4:40/q前後のラップを刻んで、5qを24:10。 ほぼ想定通りだ。
 スタート前は陽が出たり陰ったりしていたが、今のところほとんど陽が出ている。 汗をかくだろうし、給水は全て取ろうと思っていた。 6q過ぎに最初の給水。 この大会は、スペシャルドリンクと水が、ほぼ交互に2〜3q置きにある。 最初はスペシャル。 招待選手のマイボトルテーブルが過ぎてしばらくすると、ポカリスエットらしき飲み物がコップに入れて置いてある。 左に寄ってカップを取る。 大きなカップで飲みやすい。 7q過ぎで先頭とすれ違う。 先頭集団の走りが見たくて、中央車線寄りに移動する。 どうやら考える事は皆同じようで、そっち側が混雑している。 やがて中継車に続いて大きな先頭集団が通り過ぎてゆく。 沢山の人がいたので、誰がいるのかの判別は不可能だった。
 5qを越えたあたりから向かい風が気になってきた。 まあ9qで折り返すので、そのあとは追い風になるかなと思って走る。 ラップはと言うと、4:38・4:38・4:40と推移した。 5q23分で走るとなると、キロラップは4:36である。 少し遅いので、気持ちペースを上げる。 最初の折り返しは9q地点、亀川バイバス上だ。 南国のような雰囲気の道路で、走っていて気持ちがいい。 9qのラップは4:22。 少しだけペースを上げたつもりだが、ちょっと上げ過ぎたようだ。 去年は、関門に引っかかりそうでペースを上げた区間だ。 今年は関門が1分緩くなったし、少しペースが早いので、最後方集団では無かった。 しかし少し走って、ふと右を見ると、既に折り返しへ向かうランナーはおらず、がらんとしている。 通常、ランナー最後尾は、だんだん人数が少なくなっていくのだが、さすが別大、一気に人がいなくなる。 最後尾ランナーが通過すると、役員車が通り過ぎ、その後ろでは給水所の後片付けが始まっていた。 もう少し走ると、もう車が通り始めていて、空港行きのバスが見える。 市内中心部や幹線道路を封鎖してのレースだけに、市民は大変だなと思っていたが、東京マラソンとかと違って一日中封鎖するわけではない。 ランナーが一瞬で居なくなるので、別府市内の交通規制時間は、わずかなのだなと思った。 折り返した後は追い風。 走りやすいかと思ったが、日差しを正面から受けて、少し暑い。 9qまでのペースが少し早かったので、追い風に押してもらう分、少しペースを落として、10qのラップは4:39。 10qのスプリットが47:07。 ほぼ予定通りだ。 5qが24分と少しだったから、5〜10qの5qラップも想定通りだなと思う。



10〜20q
 ここから少しペースを上げるつもりだ。 幸いなことに、若干の追い風。 別府市内で応援も多く、気持ちよく前のランナーを少しずつ追い越していく。 10qまでは遅かったので、だいぶ最後尾に近い位置だったのではないかと思う。 ここから自分のレースだ。 昨年は、応援してくれる人に「ありがとう」と言いながら走っていたが、きょうは前だけを見て走る。 11qのラップは4:31だったが、12q・13qは4:26・4:27と30秒を切り、14qは4:21まで上がった。 ちょうどこのあたりが別府の中心街だ。 もう去年から何度も通っていて、見慣れた景色だ。 15qのラップも4:24と想定通り。 15qのスプリットは1時間9分16秒。 もしかしたら、湘南のタイムを上回ったかなと思う。 湘南は1時間9分39秒で通過しており、それより23秒早いのだから、この時点では充分な数字であった。 本来、予定タイムをメモにして持つか、腕に書けばいいのだが、そこまではしていなかった。 その代り、5q22分を目安にしていた。 10qを47分で、その後5q毎に22分を足していくと、予定スプリットとなる。 それくらいの計算なら、走りながら暗算でできる。 15qは47+22で1時間9分。 それよりは16秒遅いが、キロ4分20秒に乗せるのは15q以降、10〜15qは移行区間だから、16秒のビハインドは問題ないなと思っていた。 やがて4:20で走れば、16秒の借金は返せるはずだ。 22を足していくと、20qで1時間31分、25qで1時間53分、30qで2時間15分だ。 30qを2時間15分というのは、すごくなじみのある数字だ。 湘南ではキロ表示がいい加減で、ペースをつかみかねている時、30qを2時間14分42秒で通過して、あまりの速さに自分で驚き、その時点でサブ3.15を確信した。 昨年のつくばでは、やはり2時間14分51秒で通過し、めざせ湘南越えの気持ちで後半を走った。 だが、程度の差はあれ、湘南でもつくばでも、30qを2時間15分を切っていながら、その後失速している。 今日も30キロで2時間15分を切って、その後落ちなければ自己ベストと、あわよくば10分切りができるなと思った。 ちなみにその先も22分を足していくと、35qが2時間37分、40qが2時間59分である。 残り2.195q、ラストスパートを利かせても10分は見ておきたい。 すると、余裕は1分、落ち込みを最小限にとどめれば、10分切りも夢ではない。 そのためには、まずこの5q22分ペースからの借金16秒を早めに返済しなければと思った。
 16qは4:23。 目標の4:20より3秒遅いが、まあまあか。 このあたりかが、別府の市街地は終わりで、海岸沿いの道となる。 先ほどから風向きが気になっていた。 追い風のはずだったが、そうとも言い切れないのだ。 ビルの隙間から、強い向かい風を感じる事もあった。 ペースを落としたつもりはないのだが、17qのラップは4:30。 気持ち的には4:20くらいだったので、おかしいなあと思う。 次の1qも4:30。 何かがおかしい。 いつもなら、スピードに乗って走れる区間で、4:20が出ても不思議ではないのだが。 こりゃ調子が悪いのかな、と思う。 このあたりの道はバンクがきつく、カーブの度に内側に吸い寄せられる。 走行位置を右に左に変えながら、前のランナーを少しずつ追い越していく。 最初の5qは遅かったのと、10qくらいからペースを上げているので、このあたりでは、ほとんど誰にも抜かれない。 だが、ひとり自分に追いついてくるランナーがいた。 そのランナーは自分の後ろについて、抜かすわけではない。 恐らくペースが非常に近かったのだろう。 よし、彼に抜かれずに走ろう、もし抜かれたら付いてこうと思った。

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 彼に追いついてもらったお蔭で気合が入ったのか、19qのラップは4:21。 だが、正直、海からの風が強くて、思うように走れない。 9qの折り返し後は、基本追い風と思ったいたが、横風である。 カーブによっては向かい風となる。 はやく海岸沿いの道が終わってくれないかなあと思う。 20qまでのキロラップは4:33。 こりゃまずいなと思う。 スプリットは1時間31分33秒。 想定の1時間31分に比べ、33秒遅い。 15qでは19秒遅れだったから、この5qで借金返済どころか、遅れが大きくなっているではないか。 このあたり、嫌な兆候が、あちらこちらに出ていた。 まずは、右足の第二指が痛くなってきた。 匠を履くのは、つくばに続いて2回目だ。 つくばの時は、何の違和感もなく走れたが、履いた感じから、少し自分の足に小さめだなという感じは、以前から持っていた。 自分の足は、親指に比べて第二指が非常に長い。 左足は、現在爪が剥がれた状態だが、今度は右が痛くなってきた。 まあこれは我慢するしかないなと思った。 それより参ったのは、足に痙攣の兆候が見え始めた事だ。 スピード練習はしなかったとはいえ、1月は300q以上走りこんだ。 なんで足に来るんだと思う。



20〜30q
 21qのキロラップは4:23。 そして中間点を通過。 タイムは1時間36分24秒。 単純に倍すると3時間13分近くになってしまう。 前半ゆっくり入ったとはいえ、後半だいぶ上げないと、10分切りは厳しいなと思う。 18キロあたりで自分に追いついた彼は、まだ自分の横というか後ろにいる。 負けずに頑張ろうと思う。 それでも、また海岸沿いの道は続く。 22qのラップは4:28と伸びてこない。 だが、ここで力を使うと、後半失速する可能性がある。 あくまで、今までのフルマラソンの経験で覚えた「感覚」で走る事にした。 ようやく海岸沿いの道の終わりが見えてきた。 23qのラップは4:21。 よし、このペースだと思う。 西大分の駅の先で、長らく走った別大国道から別れ、左斜めの道に入る。 やっと海岸沿いの道が終わってくれたと思って、ほっとする。 24qのラップも4:21。 ようやく調子が出てきたのか。 まあ、海沿いの風の影響が薄れたからだろう。 浜町の交差点を過ぎると、反対側車線が折り返した後の走路となる。 まだ先頭ランナーは来ていないようだ。 走りを見てみたく、中央分離帯側に移動する。 25qのラップも、やはり4:21。 20qまでよりいい走りができるようになってきたかなと思う。 スプリットは1時間53分27秒。 まだ借金は27秒だ。 20q時点の借金を6秒減らしたが、たった6秒か、と思う。 これは30q2時間15分切りは難しかなと思う。
 やがて対向車線に先導車、中継車が見え、その後ろに先頭ランナーが見えた。 黒人なのは分かったが、誰だかは分からなかった。 続いて日本人ランナーが通過していったが、これまた誰だか分からなかった。 だが、中国電力の岡本選手だけは、特徴があるのでわかった。 6番目くらいを走っているようだった。 26qのスプリットは4:18。 よし、やっと4:20を切ったなと思う。 その先に、大分川を渡る橋がある。 橋の先の右手にゴールの大分市営陸上競技場が見える。 去年は、ちょうどこの橋のあたりで、花火を聞いた。 先頭が競技場に入ってきた合図の花火だった。 今日は、まだ先頭とすれ違ってからわずかだ。 27qのラップは4:22。 4:20を超えているが、橋のアップダウンがあったから、そんなもんだろう。 2人の併走は続いていた。 橋のアップダウンでペースが変わるかと思ったが、そんな事は無かった。

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 28qのラップも4:20と順調。 だが、ここから先は、非常に単調だ。 折り返しはまだかなあと思う。 このあたりは、工場があり、路面が荒れている。 交差点の手前は、わだちが深く掘れている。 路面も凸凹となっている箇所があり、ソールの薄い匠だけに注意が必要だ。 29qのラップは4:25。 落としたつもりはないのだが。 去年は陽が出て暑いなと思った区間だが、今日は気温が低いのに半袖で走っているので、日なたで心地がよい。 道路の右端を走れば街路樹の日影、左側を走れば日なたとなる。 右端を走るランナーが多いが、自分は左側を走って、相変わらず少しずつではあるが、2人で併走して前のランナーを追い越していく。 30qに到達、ラップは4:27。 ちょっと落ちたなと思う。 スプリットは2時間15分19秒。 やはり15分は切れていない。 湘南より30秒ほど遅いかなと思う。 この5qも22分を切ったなとは思ったが、まだまだ大幅に借金返済とはいかない。 このペースで行って3時間10分を切るには、あと数十秒ほどの余裕しかなない。 本当にわずかなペースダウンに留めないと10分切りは厳しいかなと思う。 ただ、また足は平気だ。 20q手前で痙攣の兆候が見られたが、その後悪化する事はなく、ここまで来ている。



30q以降
 31qのラップは4:23。 少し戻したか。 このままずるずるタイムが落ちると嫌だなと思っていたのだが、まだ大丈夫だ。 その先、西海橋西交差点を右折する。 併走している彼はカーブの内側を進んだので、少し自分が後ろになる。 ついでにゼッケンナンバーを確認する。 ナンバー4847。 ゴール後にナンバーでラップを確認すれば面白いなと思う。 左折したお蔭で、横風から追い風になる。 このあたり、道が狭く、しかし応援が多いので、走っていて非常に嬉しい区間だ。 すぐ近くから、おじさんが声援をくれた。 「3515番、頑張れ!ほら、なにニコニコしながら走ってんだ!頑張れがんばれ!」と言ってくれる。 多くのランナーが走っているのに、わざわざ自分のゼッケンナンバーを言って応援してくれるとは、非常にありがたい。 振り返る訳にはいかなかったが、大きく手を振って声援にこたえる。 再び右に曲がって、大分市内方向を向く。 追い風から横風に代わる。 32qを通過。 ラップは4:17。 おっ、えらくいいラップだなと思う。 追い風になった影響と応援のお蔭かなと、その時は思った。 気分が良くなって、楽に走る。 ここでレースが動く。 18q付近からずっと併走してきた4847のランナーが自分の前に出たのだ。 彼は、しきりに時計を見ながら走っていた。 きっとペースを確認しているのだろう。 自分は、その前の1qを4:17で走っている。 それでも、彼が前に出るという事は、彼がペースを上げたのだなと思った。 ついていこうかどうしようか非常に迷ったが、彼があげたなら、付かなくてもいいかなと思い、次第に微妙な距離があいてきた。 そういう状況で33qを通過。 時計を見て、ぎょっとする。 なんと4:44。 こりゃまずいなと思う。 彼と離れたのは、彼がペースを上げたのではなく、自分が落ちたという事だ。 駄目だ、追わなければ。 幸い、彼はまだ前に見える。 少しずつ追いかけて追いつこうと思った。 だが、実はどうやら、これには訳があって、32qの距離表示がずれていたようだ。 去年も31〜32qが4:51、32〜33qのラップが5:23と30秒以上も差がある。 口コミをみても、距離表示が明らかに違っていたという書き込みがあった。 なので、実際は31〜32q、32〜33qともに4:30/qくらいで走っていたのかもしれない。 ペースを上げて、彼に追いつく。 34qのラップは4:23。 ここが勝負どころだと思った。 今までの楽をした走りから少し変わってきたが、ここで頑張らないと10分切りは無理かなと思った。 その先、交差点を右折する。 短いながら向かい風となる。 無理して彼に追いついた反動か、少し疲れが出てきた。 向かい風となって、精神的にもキツイ。 再び産業道路に出て、左折したところが35q。 この1q、4:34。 やはり落ちてきた。 スプリットは3時間27分40秒。 借金は40秒だ。 この距離まで来るとゴールタイムからの逆算となり、余裕が1分あるので、貯金が20秒という見方もできる。 だが、この先の5qを22分で走れるとは思えない。 10分切りは、かなり厳しいなと思う。
 36qのラップは4:39。 駄目だ、限界だ。 やはり疲れが出てきている。 このままの走りでは駄目だ、あと6qくらいじゃないか、湘南国際でkorunさんはぶっ倒れるまで全力を出して走ったじゃないか、自分も頑張るんだ、と自らに言い聞かせる。 左手に、再びゴールの競技場が見える。 その先が、大分川の橋。 アップダウンもさることながら、橋の上は風がきつい。 それでも頑張って走って、37qのラップは4:32。 少し戻した。 あと5q。 何としてでも10分切りへ。 諦めたら終わりだ。 4847のランナーに橋の上で追いついて、その先、また自分が先行する。 3時間10分、3時間10分と心の中で繰り返し叫びながら前を目指す。 38qのラップは4:25。 よし、また上げた。 まだ可能性はある。 40qを3時間では通過したい。 それには、キロ4:23くらいで走る必要があった。 もう36qからはは5qレースのような形相。 身体をいっぱいに使って走ってきた。 10分を目指すには、それしかなかった。 だが、当然体力の消耗も招いた。 次第に力が入らなくなってくる。 38.5qの給水で、再び併走状態となっていた4847のランナーに少しおいていかれる。 39qのラップは4:35。 スプリットは2時間55分51秒。 駄目だ、終わった。。 40qまでの1qを4分09秒で走れるはずはなかった。 このあたりが大分市内の中心部。 広い道路を走るのは気持ちがいいが、正直、40qはまだかなあという気持ちで走る。 だが、諦めちゃいけない。 前を走る4847のランナーに再び追いつく。 遠くに見えた40qの看板。 去年は関門ギリギリだったなと思う。 この1qのラップは4:32。 もう正直、4:30を切るのは不可能だった。 スプリットは3時間00秒23。 1分の余裕を使い果たして、さらに23秒の借金。 キロ4:20で走れば10分切りの可能性が無い訳ではないが、まあ実質的に不可能だろう。
 だが、ここで力を抜く訳にはいかない。 もうひとつ、自己ベストという目標がある。 正直、それまで10分という目標に向かって突っ走ってきただけに、自己ベストは確実に出ると思っていた。 だが、油断すると、万が一という事もある。 もう既にエネルギーは底を尽きかけていたが、ゴール後に歩けなくなってもいいという気持ちで走る。 やがて前方に大分川を渡る舞鶴橋が見える。 疲れた足に、この坂はしんどい。 ペースは落ちるが、何とか上りきる。 4847のランナーは後方に離れて行ったようだ。 橋の上の平坦でペースを上げようと思ったが、そこは風という敵が。 やはりペースは上がらなかった。 41qのラップは4:39。 精一杯走っているのに、ほとんどワーストラップだ。 橋の上り、橋の上の強風。 頑張りが相殺されてしまう。 橋の上から、競技場の照明等が見える。 あそこまで走ればゴールだと思うが、橋を渡って左折すると向かい風。 あと少しだと思うが、既に10分切りが無理と分かってしまっているので、目標が持てない。 それでも、やはり競技場が見えると嬉しいものだ。 自分は別大を走れているんだ、という実感が湧いてくる。

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 早く終わって欲しいという気持ちと、別大を走れている嬉しさが交錯する。 競技場へ右折して、そこからトラックまでが意外に長い。 だが、応援が多く、やはり嬉しい。 トラックを3/4周するとゴールだ。 フィールドにタイム掲示板が見える。 タイムは3時間09分台の数字だった。 ああ、本当はここで8分台のタイムをみながら、10分を切れる喜びをかみしめながら走るはずだったのに、と思う。 掲示板が置いてある第三コーナーを回った時はまた9分台だったが、第四コーナーへの途中で10分になったと思われる。 残り100m、どうせなら全力を出し切ってゴールしようと、ありったけの力を出す。 顔をゆがませてゴール。 3時間10分切りはならなかった。

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 昨年は別大を走れた嬉しさを噛みしめ、感動のゴールだったが、今日は何とも微妙な気持ちだ。 フィールドに入って、思わず手をついてしまった。 屈んでいる自分に、高校生がタオルを掛けてくれる。 「ありがとうございます」とお礼を言うが、昨年ほどの爽快感がない。 疲れているのも事実だ。



ゴール後
 寒い事もあり、余韻に浸る時間もほどほどに、体育館を目指す。 体育館への動線は、トラックの第二コーナーあたりを横切る形となる。 昨年は、最後の方のゴールで、もうランナーがすくなく自由に渡れたが、今日はまだランナーが多く、渡るのに渋滞した。 競技場を出たところでゼッケンに付いているチップを外すのだが、これが大変だった。 ご丁寧に、前後両方のゼッケンに付いていて、前は何とか外せたが後ろは無理で、結局シャツを抜いて裸になって外した。 更衣所となっている舞鶴高校体育館は、競技場の隣なのですぐだ。 道路を歩いていると、悔しさで涙がこぼれてきた。 なんで10分を切れなかったんだろう。 切れなかったという事実に対する悔しさではない。 なぜもっと頑張れなかったんだ、もっと頑張れたんじゃないか、そう思って、自分自身に腹が立って悔しかった。 どこかで楽をしようとしていなかったか、本当に全力が出し切ったのだろうか。 気分的には、3時間30分05秒だった佐倉マラソンを走り終わった時に似ていた。 だが、あの時は、本当に全力を出し切って、ゴール後に倒れるほどだった。 今日は、そこまで出し切れただろうか。 そう思うと、悔しさ、物足りなさが残った。
 着替えのため、体育館へ行く。 だが、出来れば会っておきたい人がいた。 4847のランナーだ。 併走してくれたお礼を言いたかったのだ。 だが、ゴール後は人が多くて会えなかった。 会えるとすれば、体育館だ。 ゼッケン番号を記載した荷物が置かれているので、そのあたりで待っていれば彼がやってくるはずだと思った。 だが、待てども彼は来なかった。 寒いので、いったん自分の荷物を取り、4847の荷物の近くに陣取って着替える。 ちょうど着替え終わった時、彼が戻ってきた。 どうやら友人と走っていたようで、その友人のゴールを待っていたようだ。 早速声を掛ける。 自分は既に着替えてしまっているので、一瞬彼は自分が誰だか分からなかったらしい。 だが「ずっと併走した」と言ったら、すぐにわかってくれた。 彼は自分に「付かせてもらった」という言葉を選んだ。 確かに20qから32qまでは、どちらかというと自分が引っ張る感じであった。 だが、33qでペースを乱して遅れた自分に対し、彼はそのままのペースで前に行ってくれた。 その彼を追いかけられたことは、非常に大きかった。 35qからは、お互い疲れてきているので、抜きつ抜かれつだった。 彼がいなかったら、精神的にもっときつかっただろう。 10分を切れなかったと言っても自己ベスト、それは彼のお蔭かも知れない。 お蔭と思っているのは、恐らくお互い様だろう。 「ありがとう」と言い合い、固い握手をして別れた。



大分をあとに
 駅までシャトルバスに乗る。 携帯の電源を入れると、妻からメールが入っていた。 「40qが3時間だね。速いね。」とある。 もうちょっとだったんだけどね。 朝のシャトルバスは待たなかったが、帰りは少し待った。 バスは大分駅を経由して別府北浜まで行く。 大分空港行きのバスは大分から出るが、時間があるので別府の温泉に入りたい。 駅で下りずに別府北浜まで行く。 国道10号線は渋滞が激しかったが、コースとなっている海沿いに出たら流れるようになった。 バスの中で、アドバンスの面々からメールを頂戴する。 「自己ベスト、おめでとう」とある。 走り終わった時は10分を切れなくて悔しかったが、やがてその悔しさが薄れ、満足感に変わってきた。 確かに自己ベストである。 それは胸をはっていい。 早速メールをくれるとは、嬉しい仲間たちである。
 渋滞のせいもあって、北浜に着いたのは17時近かった。 18時のバスに乗れば十分間に合うと思われるので、風呂に入る時間はありそうだ。 混んでいるとは思ったが、北浜から近い海門寺温泉に行く。 予想通りランナーが沢山いたが、何とか空いているロッカーがあった。 風呂に入ると、顔がヒリヒリする。 日に焼けたのだろうか。 時間の制約もあるので、なるべく熱湯に入って汗を流す。 家に帰って風呂に入らなくていいように、頭と体も洗う。 風呂を出ると、脱衣場は、これから入ろうという人でいっぱいだった。 半分がランナー。 地元の人には申し訳ないと思うが、今日一日なので我慢してもらろう。
 北浜バス停に行くと、空港行のバスを待つ長い行列が。 しかも、自分が並んだあとにも人がどんどん来て、列が伸びる。 バスは大分始発なので、乗れるのかなと思っていたが、到着したバスをみると思ったより大分からの客が少ない。 後ろの方の人は補助席となってしまったが、全員乗れて空港へ向かう。
 バスの中で、友人からもらったメールに返信する。 確かに、おっしゃる通り自己ベストであり、それは素直に喜ぶべきだと思った。
 空港へ着くと、トイレに行く。 実は下痢気味だった。 ちょっと食べ過ぎだったんだろうなと思う。 隣の個室では、誰かが吐いているようだ。 たまたま個室を出るタイミングが一緒だったので見たら、ランナーだった。 きっと胃に来たんだろうなと思う。
 土産を買い、手荷物検査を受けた後、夕食。 炭水化物をと思って、パンを買っておいた。 だが、レース前に食べようと思っていたおにぎりも残っている。 今日はレース後から空腹では無かった。 佐倉マラソンの時は、走り終わった後空腹で、出店で買ったうどんやパンを大量に食べた。 だいたい走り終わった時はそんな感じだ。 去年の別大も、すぐにパンとバナナを食べた。 だが、今日は違った。 この時間になっても、全然空腹感が無いのだ。 思い当たることはひとつ、昨日の晩から食べ過ぎなのだ。 途中に給食所が無いこのレースでは、どうしても不安から、レース前に炭水化物を詰め込み過多になってしまう。 今日も走り始めてからしばらくは腹が重かった。 沢山食べて走ったお蔭で、後半エネルギー切れになる事は無かったが、前半タイムが伸びなかったのは、食べ過ぎも一因だろう。
 待合室はランナーでいっぱい。 空港までのバスもそうだったが、恐らく飛行機もランナー専用状態となるのだろう。 羽田空港周辺の航路混雑の影響で、出航が10分ほど遅れるという。 早く帰りたいが、こればかりは仕方がない。 定刻20:15発の飛行機は、約10分遅れで出航した。 もちろん機内はランナーばかり。 自分の隣も、そのまた隣もランナーだ。 機内で時計で記録したラップを確認する。 友人がいうとおり、最初の5q以外は、5qのラップを22分台(一部21分台)で走っている。 35〜40qのラップも22分台というのは、確かにすばらしいと思う。 そう考えると、最初の24分は遅いのかなと思ってしまう。
 飛行機は21:46に滑走路に着陸した。 バスでの移動だという。 参ったなと思ったが、ターミナルの端のボーディングブリッジから歩くより、むしろ早いかもしれない。 余裕を持って、22:01の京急に乗れた。 品川で山手線に乗換え、新宿から京王線で堀之内に着いたのは23:21だった。 妻は起きて待っていてくれた。 開口一番「頑張ったね、早かったじゃん」と言ってくれた。 確かに10分は切れなかった。 だが、10分というのは、タイム上の話であって、目に見える壁ではない。 やはり自己ベストを出せたという事を喜ばなければ、と思った。 まあ、普通に考えれば、いい練習はできていなかったし、体重も重かったし、10分は切れなくて当たり前。 よく自己ベストが出たなという感じ。 高速コース「別大」のお蔭だろう。 ただ、高速コース「別大」だっただけに、残念、もったいないという考え方もできる。 これだけタイムが出やすい大会なんだから、なんでもっとちゃんと準備して挑まなかったんだろう、という気持ちにもなる。



レースを振り返って
 5q毎のラップで、大まかにレースを振り返る。

 
ラップ
キロラップ
備考
0km〜5q24:104:50 
5km〜10q22:574:35 
10km〜15q22:094:26 
15km〜20q22:174:27 
20km〜25q21:544:23 
25km〜30q21:524:22 
30km〜35q22:214:28 
35km〜40q22:434:33 
40q〜ゴール10:074:37 

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 グラフを見ると明らか。 いつもスピードが上がるはずの15〜20qで、前の5qよりラップが落ちている。 何といっても海風にやられた区間だ。 もっと攻めれば良かったが、それも結果論か。 もしかしたら、攻めていたら後半潰れたかもしれないし。
 この大会は、5q毎の全選手のラップがわかるので、色々分析できて楽しい。 5q毎の順位と、その間何人抜いて、何人抜かれたかを出してみた。

  順位 抜いた数 抜かれた数 順位変動 上位率 リタイア数 出走者数
スタート 1,888       59.0%   3,200
5q 2,678 59 849 -790 83.7%    
10q 2,584 132 38 94 80.8% 6 3,194
15q 2,365 220 1 219 73.9% 4 3,190
20q 2,216 149 0 149 69.3% 15 3,175
ハーフ           32 3,143
25q 2,071 145 0 145 64.7% 28 3,115
30q 1,897 174 0 174 59.3% 94 3,021
35q 1,752 151 6 145 54.8% 91 2,930
40q 1,590 164 2 162 49.7% 127 2,803
ゴール 1,558 37 5 32 48.7%    

 スタートはカテゴリー3ながら、陸連登録で、タイムは3時間14分だから、それほど後ろではなく、真ん中より少し後ろ。 最初の5qはゆっくり入ったので、その区間で何と849人にも抜かれている。 前から59%の位置でスタートしたのに、5q地点で83.7%と、かなり後ろまで下がっている。 まあ、でも去年のように、後ろから3人目という事はなかった。 自分のペースが少し速かった事もあるが、10q関門が1分、15q関門が2分伸ばされて全体ペースが遅かった影響もあるだろう。 5qまでに抜いた人は59人だが、そのほとんどは女子選手であろう。 女子はタイムに関わらず、男子カテゴリー3の前方スタートなので、持ちタイムが遅い人でも我々より前からのスタートとなるからだ。
 5qから少しペースを上げたので、抜かれた人数より抜いた人数のほうが増えてくる。 びっくりしたのは、15〜30qまで、誰一人にも抜かれなかったという点。 10〜15qでも1人しか抜かれていない。 しかもその人は陸連未登録で最後方スタートだから、実質10〜30qでは抜かれなかったともいえる。 30q〜ゴールでは13人に抜かれたが、それだって少ない数である。 つまり10q以降ゴールまで14人にしか抜かれていない。 その間、抜かした人は1,040人。 ちなみに、10qまでに887人に抜かれている。 つまり何が言いたいかというと、3時間10分を目指すのに、10q47分は遅すぎるんじゃないかという事である。 今回3時間10分を切っている人の10qのスプリットを見ると、だいたい45分前後が多い。 47分掛かっている人は2人しかいない。 しかも2人とも陸連未登録で最後方スタートでタイムロスがあるから、実質45〜46分で走っているだろう。
 10q以降、自分を抜かしたのは14人だが、その中にすさまじい人がいた。 ゼッケン4618・陸連未登録で後方スタートながら、10qまでに自分を抜かして45分半。 ところが次第に落ち始め、25〜30qで自分に抜かれる。 35qでは自分より23秒遅れていたのだが、そこから奮起、40qで自分との差を3秒に詰めると、猛烈なラストスパートをかけ、見事3時間9分54秒でゴールしている。 やはり10分を切るには、それくらいの根性がないと駄目なんだなと思った。 自分もその人についていけば、って今なら言えるが、その時はいっぱいいっぱいだった。
 出走者数は3,200人だから、ゴール1,558位は辛うじて真ん中より上。 ただし、男子だけに限ると、真ん中より少し下となる。 リタイヤ数は397人。 ちなみに昨年は3,208人出走の404人リタイヤだから、ほぼ同じである。
 関門ごとのリタイヤ数は以下の通り。

関門 2015年 2014年
10km 6人 20人
15km 4人 30人
harf 47人 21人
25km 28人 64人
30km 94人 104人
35km 91人 78人
40km 127人 87人
397人 404人

 今年は、去年に比べ、10qと15qの関門が緩くなったので、そこで引っかかった人は圧倒的に少なくなったが、その分ハーフや後半で引っかかった人が多かった。
 走行中、お世話になった4847のランナーについて。 下のラップ、左側が自分、右側が4847のランナー。 赤の他人だというのに、普通ではこんな併走はありえないと思う。

  自分 NO4847
05km 24:10 24:34
10km 47:07 47:15
15km 1:09:16 1:09:19
20km 1:31:33 1:31:33
25km 1:53:27 1:53:28
30km 2:15:19 2:15:19
35km 2:37:40 2:37:38
40km 3:00:23 3:00:23
goal 3:10:30 3:11:01

 彼は陸連未登録で、後方からのスタート、自分は遅めに入った。 事情は違うとはいえ、途中から目指したものは同じ。 どんどん前のランナーを捕まえていくこと。 真剣に走っていたので言葉は交わさなかったが、気持ちは一つになっていた。 給水で一瞬離れても、飲み終わると再び肩を寄せ合って走った。 15〜30qまで、誰一人にも抜かれず、その後も13人にしか抜かれていない自分とずっと併走したのだから、相当稀な2人である。 お互いに言えることだが、よくこうも目標となるランナーがうまい具合に見つかったものだ。 33q以降40qまでは、何度か自分が離された。 それでも粘って追いつき、ラスト1.5q、大分川に掛かる舞鶴橋の登りで振り切って引き離した。
 せっかく記録したので、1q毎のラップも記録しておく。 比較的安定してラップを刻んだと言える。 だが、さすがに33q以降はラップにばらつきがみられる。 まあ、このあたりは仕方がないだろう。 また、参考に湘南国際との比較も。 8qまでは遅れていたが、ペースの上げが早めで、9q以降は湘南のスプリットを上回る。 16qでは、31秒早いスプリットだったが、その後海風に悩まされてペースが落ち、20qで湘南を下回る。 その後も差は開いて、31qで最大の44秒遅れとなった。 後半ラップが落ちた湘南に対し、今回は落ち込みが少なかったが、それでも湘南を上回ったのは40q。 やはり10分切りを目標にしていたので、モチベーションが高かった。 今にして思えば、湘南の時は、そこまでの意識が無かった。 ラスト2qで楽した湘南に比べ、今回は最後まで全力を振り絞った。 その結果が自己ベスト30秒更新である。

  2015/2/1 別府大分 2013/11/3 湘南国際 湘南との差
1.0km 5:22 5:22 4:50 4:50 +32秒
2.0km 4:49 10:11 4:42 9:32 +39秒
3.0km 4:38 14:49 4:51 14:23 +26秒
4.0km 4:44 19:33 4:50 19:13 +20秒
5.0km 4:37 24:10 4:50 24:03 +07秒
6.0km 4:38 28:48 4:31 28:34 +14秒
7.0km 4:38 33:26 4:36 33:10 +16秒
8.0km 4:40 38:06 4:46 37:56 +10秒
9.0km 4:22 42:28 4:46 42:42 -14秒
10.0km 4:39 47:07 4:28 47:10 -03秒
11.0km 4:31 51:38 4:28 51:38 -00秒
12.0km 4:26 56:04 4:34 56:12 -08秒
13.0km 4:27 1:00:31 4:27 1:00:39 -08秒
14.0km 4:21 1:04:52 4:29 1:05:08 -16秒
15.0km 4:24 1:09:16 4:31 1:09:39 -23秒
16.0km 4:23 1:13:39 4:31 1:14:10 -31秒
17.0km 4:30 1:18:09 4:22 1:18:32 -23秒
18.0km 4:30 1:22:39 4:30 1:23:02 -23秒
19.0km 4:21 1:27:00 4:12 1:27:14 -14秒
20.0km 4:33 1:31:33 4:17 1:31:31 +02秒
21.0km 4:23 1:35:56 4:18 1:35:49 +07秒
22.0km 4:28 1:40:24 4:20 1:40:09 +15秒
23.0km 4:21 1:44:45 4:19 1:44:28 +17秒
24.0km 4:21 1:49:06 4:19 1:48:47 +19秒
25.0km 4:21 1:53:27 4:17 1:53:04 +23秒
26.0km 4:18 1:57:45 4:20 1:57:24 +21秒
27.0km 4:22 2:02:07 4:22 2:01:46 +21秒
28.0km 4:20 2:06:27 4:17 2:06:03 +24秒
29.0km 4:25 2:10:52 4:23 2:10:26 +26秒
30.0km 4:27 2:15:19 4:16 2:14:42 +37秒
31.0km 4:23 2:19:42 4:16 2:18:58 +44秒
32.0km 4:17 2:23:59 4:31 2:23:29 +30秒
33.0km 4:44 2:28:43 4:32 2:28:01 +42秒
34.0km 4:23 2:33:06 4:40 2:32:41 +25秒
35.0km 4:34 2:37:40 4:29 2:37:10 +30秒
36.0km 4:39 2:42:19 4:28 2:41:38 +41秒
37.0km 4:32 2:46:51 4:40 2:46:18 +33秒
38.0km 4:25 2:51:16 4:41 2:50:59 +17秒
39.0km 4:35 2:55:51 4:43 2:55:42 +09秒
40.0km 4:32 3:00:23 4:47 3:00:29 -06秒
41.0km 4:39 3:05:02 4:51 3:05:20 -18秒
42.0km 4:34 3:09:36 4:40 3:10:00 -24秒
42.2km 0:54 3:10:30 1:00 3:11:00 -30秒

 さて、次なる目標は、当然3時間10分切りとなる。 できれば秋のつくばマラソンでマークしたい。 来年度も陸連登録をする予定である。 というのも、来年度のかすみがうらマラソンを、陸連登録でエントリーしているからだ。 グロス3時間10分30秒であるから、かなり若い番号がもらえるだろう。
 来年の1月2月であるが、別大は今年を最後とし、勝田マラソンに出ようと思っていた。 だが、今年改めて別大の良さを知ってしまった。 もう一度出てみたい、今は強くそう思う。
 今シーズンは、あと3月の佐倉、4月のかすみがうらにエントリーしている。 もちろん公認のフルマラソンであるため、ここで3時間10分切りを目指すことも選択肢の一つとなる。 たが、気候的に暑くなるかもしれない。 体調や気候を決めて、タイムを目指すか考えたいと思う。 もし10分切りを目指すなら、最初の10qを46分で入るようにしようと思う。



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