2012/3/18 板橋Cityマラソン(フル) inserted by FC2 system



板橋Cityマラソン
 フルマラソン、サブフォー。 初めて意識したのは、高校時代にさかのぼる。 走るのは嫌いではなかったので、10qをジョギングで45分くらいで走っていたと思う。 高校3年の時だったと思う。 たまたま佐倉朝日健康マラソンの広告を目にした。 フルマラソンといえば、観戦するものであり、それまで自分が走るとは考えてもみなかった。 多くの市民が走るフルマラソン大会があるというのに驚いたものだ。 その時、自分がもし走ったら、どれくらいで走れるのかなと思った。 10qを走って45分だから、フルマラソンでも10qを55分ペースでは走れそうな気がした。 それに2.195qを足したとして、4時間は切れるかな、漠然とそう思った。 いずれフルマラソンを走ってみたいなと、その時は思った。 だが、大学に入って管弦楽部に入ると、走る事を忘れてしまった。
 そして、再び走り始めたのが2010年8月。 2010年12月のクリスマス駅伝に出るためであった。 ただ、駅伝とはいっても5q。 練習で走るのは、多摩センターから自宅までの3qであった。
 本格的に長い距離を走り始めたのは2011年の1月。 2011年3月6日の大井埠頭ミニマラソン(10キロ)に出るためだった。 誘ってくれた会社の部長は、ハーフマラソンの大会にも数多く参加していた。 話を聞くと、やはり長い距離を走ってみたいなと思うようになった。 長い距離といえば、やはりフルマラソン、42.195qである。 色々ネットで調べていくと、サブフォー、いわゆる4時間切りは、市民ランナーの一つの憧れだという。 サブフォー、それは、くしくも高校時代に私が思いを馳せたタイムであった。 やはり、仮にフルマラソンを走るなら、絶対にサブフォーは達成したい、そう思うようになった。
 その10qレースの最初の目標は46:40だった。 今にして思えば、かなり遅いタイムだが、最低でもこのタイムを出さなければ、フルマラソンのサブフォーはあり得ないなと思って設定したタイムだ。 そのレースで44:05と、予想を大きく上回るタイムを出し、いよいよサブフォーを目指そうと思い始める。 2012年3月にフルマラソンを走る事を想定し、それまでにハーフマラソンを何回か経験することにした。 立てたスケジュールは2011年10月から約1か月置きにハーフを3回走って、2月の青梅マラソン30qを経て3月のフルマラソンに挑むというもの。 ハーフマラソンの目標は最低1時間45分、できれば1時間40分に設定した。 これも、フルマラソンサブフォーを意識したものだ。 最初のハーフマラソンである手賀沼エコマラソンは1時間44分掛かってしまったが、2度目の川越で1時間38分と、目標を達成した。
 この頃から欲が出てしまった。 サブフォーとは言わず、例えば3時間40分というタイムも狙えるのではないかと。 1月の下野市天平マラソンで1時間36分と、またハーフの自己ベストを更新した。 ハーフマラソンのタイムからフルマラソンのタイムを予測するには、様々な方法がある。 代表的なものが係数をかける方法と時間を加算する方法である。 係数としては2.2〜2.3、時間を加算する方法だと、+20〜30分である。 下野市天平マラソンのタイムにその計算式をあてはめると、だいたい3時間32分〜3時間43分である。 これは3時間40分を目指さなければいけないなと思った。 完璧な状態ならサブ3.5も目指せるのではないか、そう思いはじめた。
 が、その矢先、左膝を故障する。 ついついオーバートレーニングになってしまったのだ。 その後、しばらく走れない日が続いた。 それまで順調だっただけに、非常に悔しかった。 2月の青梅マラソンは、本調子でない中で迎える事になる。 膝をかばった走りであったが、走っている間は膝の痛みを忘れる事がわかった。 タイムは遅かったが、30q走っても足の耐力が持つことが分かった。
 だが、青梅の後遺症で、再び2週間、全く走れなくなってしまった。 正直、板橋のフルマラソンをリタイヤしようかなとも思った。 医者にも通った。 本番2週間前になって、ようやく痛みがひいてきた。 それでも、また走ると痛む状況。 走るべきか、リタイヤすべきか、最後の最後まで悩んだ。
 だが、結局「走る」という結論に至った。 もしかしたら、膝の痛みを慢性化してしまう恐れもある。 でも走りたかった。 一時的とはいえ、痛みが消えた今の状況、スタートラインには立とうと思った。 もう3時間40分という目標は論外である。 それどころか、今の状況では、完走すら危ういと思えた。 が、やはりサブフォーだけは譲れない目標であった。 あくまでも、目標で終わってしまうかもしれない。 それでも、走るからには、サブフォーを目指せるラップで走ろうと思った。

 今までのハーフの大会といは違い、色々な準備をした。 ネット上に、色々な記事が散在している。 その中から、金哲彦氏のコラムを参考にさせてもらった。 コラムの中で、もっとも強調されていたのが、最初の5qをゆっくり入るという事だった。 スタートの混雑もあるだろうが、しばらく6分/qペースで走って、5q通過は29:20を目標にした。 その後は、サブフォーへの基本ペースである5:30/qに持っていき、10qを57分ちょうどとした。 コースは、15q付近で狭くなるという。 過去のレースのブログを読むと、ここで徒歩となってしまうケースもあるという。 今回は予想タイムを4時間半で申し込んだので、ゼッケン番号10328と、相当後ろのほうからのスタートとなる。 ここでのタイムロスも想定し、20q通過を1時間54分とした。 だが、このペースを後半まで続けていたのでは、サブフォーは厳しい。 20km以降しばらくは5:30/kmを守ることとし、30km通過は2時間50分の設定。 その後は5:40/kmをキープできれば、サブフォーでゴールできる計算である。 まあ、実際には不安だろうから、少し早目になる可能性もあるが、走ってみてこの通過タイムであってもあきらめないで頑張ろうと思う事にした。 青梅のときは、20kmまでがあまりにも遅かったせいもあるが、20〜30kmの10kmを45分少々で走っている。 後半勝負の実績を作ったことで、遅めに入っても大丈夫という自信が持てるようになった。

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 食生活にも注意した。 効率よく炭水化物を摂取できるように、レース1週間前の月曜から炭水化物を控え、逆に3日前からはたんぱく質を控えた。
 それまでのレースは、半袖短パンが基本であった。 だが、さすがにフルだとペースが遅いため、寒いかもしれない。 長袖のシャツを買って、半袖と両方持っていくことにした。 また、膝を痛めているため、遂にランニング用スパッツを購入した。 今まで、そんなものは要らない、走るのは自分の足だ、と思っていたのだが、今は頼れるものなら何でも頼りたい気持ちだ。

 スタートは9時。 最寄り駅は埼京線の浮間舟渡である。 朝5時半に起きる必要がある。 だが、3時にトイレに行きたくて目が覚める。 別に夜、多めに水分を摂ったわけではないのに、なぜだろうと思う。 5時過ぎに起きると、すぐにトイレ。 普通、3時にトイレに行ったなら、起きて直ぐにしたいとは思わないことが多いが、変だなと思う。 京王堀之内6:08の電車に乗り、調布で快速に乗り換える。 少しでも体力を温存したいので、座っていきたい。 幸い、両電車とも空席があり、新宿まで座れた。 ドアを挟んだ向かい側に、本大会のパンフを見ている人がいる。 あの人も走るんだなと思う。 新宿で埼京線に乗り換えるのだが、ここでトイレに行っておきたい。 会場のトイレは非常に混んでいるだろうし、浮間舟渡の駅も相当混雑しているだろう。 だが、新宿のトイレも既に混んでいた。 並んでいるほとんどの人が板橋のランナー。 それでも、会場のトイレより空いていると思って並ぶ。 しかし、なぜレースの朝は、いつも下痢気味なのだろうか。 まあ、でもここで出てしまえば、もう大丈夫であろう。 だが、「大」もだが、「小」も漏れそうな感じ。 もう朝から3度目である。 一体どうしたのだろうか。 新宿7:15の埼京線に乗る。 始発なので座れた。 浮間舟渡の階段に近い、後ろから3両目に乗る。 池袋で沢山の客が乗ってくる。 8割くらいがランナーだ。 ほとんどの客が浮間舟渡で降りる。 駅が凄く混雑すると聞いていたが、階段近くに乗ったからか、それほどでもなかった。 会場までは歩いて15分ほどである。
 さて、天候であるが、曇り。 何より風が無い。 最高気温は14℃程度。 朝は寒くなく、最低気温は9℃。 つまり、走り始めと走り終わりの気温差が少ないということ。 ある意味、最高のコンディションかもしれない。 だが、昨日結構雨が降った。 会場は河川敷であるため、足元がぐちゃぐちゃである。 コースはほとんど舗装道路であるが、水たまりが散在している。
 受付を済ませると、ウエアにゼッケンを取り付ける。 今日は朝寒くないので、半袖で大丈夫そうだ。 持ってきたバナナとおにぎりを食べる。 ゴールするのは、早くても13時だ。 ズボンのポケットにはいつも、パスモと現金数千円を入れて走っている。 今回は、その他に、ティッシュペーパー、携帯電話、そしてチョコレートの箱を持って走る。 携帯には、メモ機能に1q毎のラップタイムを記入しておいた。 だが、結局走っている間、携帯を見ることは無かった。
 荷物を預け、朝から数えて4度目のトイレに行き、9時5分くらい前にスタート地点に並ぶ。 5分前というとギリギリに感じるが、号砲5分前なのであって、実際にスタートラインを越えるのは、その10分以上後と思われる。 号砲が鳴って、しばらくすると全体が前に進む。 といっても、ブロック間の隙間が詰まっただけの感じで、歩いたり止まったりの繰り返し。 まあ、どうせグロスタイムは気にしないので、気長に待つ。 ゲストの千葉真子さんのトークが続いている。 「汗をかいていないように見えても、実際にはかいていますから、給水はしっかり摂ってくださいね」と言っている。 その言葉を聞いて、急に不安になった。 朝から、トイレが近く、もう4回も行っている。 かといって、それほど多くの水分を摂ったわけでもない。 脱水気味なのかもしれないと思った。 もう今の時点で給水はできないので、最初の給水ポイントから、しっかり水を飲んで行こうと思った。

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 スタートラインに到達したのは、実に号砲から14分後だった。 スタート後も歩きになるのではと心配したが、一応走っている。 ただしペースは極めて遅い。 それはそうだろう。 このスタートブロックは、予想ゴールタイム4時間半の人たちである。 あくまで予想だから、実際は5時間程度のランナーが結構いるのではないかと想像する。 5qまではゆっくりと思っているが、さすがにその人たちのペースにはあわせられない。 舗装道路の右端からランナーをごぼう抜きしていく。 時には河川敷の芝生の中を走って集団を抜く。 最初の3qは、6:00/qの想定だったが、それより遅れることは嫌だった。 1q地点を通過して時計を押すと、5:45。 6分を超えていなかったので、ほっとする。 膝に負担をかけないと思われる、摺り足走法である。 次の1qも5:44。 更に5:42、5:45と理想的なラップを刻む。 もちろんストレスがたまる走りであるが、最初の5qをゆっくり入れという金哲彦氏の言葉を胸に走る。
 さて、5q手前で最初の給水。 今までの大会で、10q手前で給水したことはなかったが、今日は飲む。 自分がコースの右端を走っているのだが、給水所が右側か左側かわからなかった。 近くなって見えてきたら、左側だった。 ペースを落として流れに乗って、コースを移動して水を摂る。 まだスタートして間もないので、人口密度が高く、止まらないとコップに手が届かない。 給水ロスがあって、この1qは6:08を要した。 だが、この程度なら想定の範囲内だ。 5qのスプリットは29:04。 想定が29:20だから、非常にいいスプリットだと言える。 金哲彦氏によると、ペースの誤差の許容範囲は、5qごとの目標でプラスマイナス1〜2分だという。
 ここからは少しペースを上げることにしている。 目標ラップは5:30/qだ。 5q地点は、ちょうど岩淵水門の上、すなわち土手上の高さとなるが、ここから土手下へ下る下り坂がある。 この下りでペースを変える。 6qで時計を押すと、5:24。 我ながら、素晴らしいペース感覚である。 その後も、給水で数秒ロスするものの、5:20前後のラップを刻む。 ちなみに、今のところ、すべての給水ポイントで水またはスポーツドリンクを飲んでいる。 10q通過は55:57。 想定より約1分早い。 今のところ膝は痛くない。 もちろん、呼吸は全く辛くない。 だが、思ったより汗をかいているなと思った。
 半袖であり、走り始めは、さすがに少し寒かった。 このころからだいぶ身体が温まってきた。 もう既に何人のランナーを抜いただろうか。 スタート後より持ちタイムがいいランナーのエリアに入ったからであろう、全体のペースが少し早い感じがする。 それでもやはり抜きたい気持ちが出てしまったのか、自然とペースがあがる。 その後は5:10、5:15と、想定より早いラップを刻む。 12〜13qは給水ロスが大きく、5:37掛ってしまったが、13〜14qは、また5:14とペースを戻す。 この先、いよいよ狭小区間が待ち受けている。 少しでも前の位置で狭小区間を迎えたいという気持ちがあって、ペースが上がってしまったのかもしれなかった。 狭小区間の前に給水所がある。 ここでは、水をもらわずにバナナをもらう。 さて、次第に走路が狭くなってきたが、思ったよりペースが落ちてこない。 もちろん、狭いので流れに乗って走るしかなく、それまでのようにどんどん抜くわけにはいかないが、歩くといったことは無さそうだ。 比較的早い時間にここを通過できたのが幸いだったのかもしれない。 というのも、道路幅は4mで、その幅を2mと2mに分けて往路・復路に使うと案内に書いてあったのだが、実際には3mと1mだった。 まだ復路のランナーが少なく、走者の多い往路側を広く取ってくれていたのだ。 14〜15qは5:27。 バナナを食べたし、狭小区間で抜かせなかったのでやむを得ない。 15〜16qも狭小区間が続き、5:28。 歩くことを想定し、6:40/qくらいになってしまうかと思っていたが、過大な心配だった。 狭小区間が終わった16〜17qは、5:19とラップを戻す。
 だが、このころから、痛めている左膝が痛みだした。 が、青梅のときは2qから痛みを感じた。 それに比べれば、ずいぶんと遅い。 それに、青梅は痛いと思っても、そのまま30qを走りきっている。 自分自身に、明日は痛いかもしれないが、走っているときは大丈夫、と言い聞かせる。 17〜18qは、給水があったのに5:02/qと、ベストラップ。 そんなにペースを上げたつもりはないのだが。 だが、膝の痛みより現実的な問題が押し寄せる。 なんと、トイレに行きたくなってきたのだ。 今までレース中にトイレに行ったことは無い。 なぜレース中にトイレに行きたくなるのだろうと、不思議に思っていた。 だが今日、その難題が自分の降りかかってきている。 トイレはどこにでもあるものではない。 しかも、たいていどこも行列である。 このタイムロスは痛い。 だが、正直、とてもゴールまで持ちそうな感じはしなかった。 河川敷の多くは野球場となっていて、所々にトイレがある。 19q手前で目にしたトイレには、幸いにも誰も並んでいなかった。 行くなら今だ、そう思うと、コースを外れて、用をたす。 19qで時計を押すと、6:33。 まあ、さすがにこれは仕方がない。 狭小区間で徒歩にならなかった分、この程度のロスは問題ないだろう。 20qで時計を押すと、ラップは5:10に見えた。 だが、ボタンを押し間違ったのだろうか、時計が0:00:00を表示している。 しまったと思ったが、もうどうしようもなかった。 あきらめて、もう一度0:00から測り直しである。 これは困ったなと思った。 自分はネットタイムを気にしているので、走り始めてから何分かを知る手だてが無くなってしまったのでは、と思った。 が、この時計は、ストップウォッチを押した時刻が記憶されるようになっている。 その記録を見ると「9:14」となっている。 すなわち、号砲から14分後以降にスタートしたことになる。 時計から14分を引けば、おおよそのスプリットタイムがわかるなと思った。 時刻は11:14だった。 そこから14分を引くと10:50。 すなわち、スタートから1時間50分程度である。 20qの想定が1時間54分であったから、それより4分程度上回っているなと思った。 もちろん、狭小区間での徒歩がなかった影響が大きい。 だが、その分、トイレに寄ってこのスプリットだから、悪くは無いなと思った。 20〜21qのラップは5:02。 えらくいいラップだなと思った。
 21qを過ぎるとほどなく中間点、そして折り返しがある。 折り返してみて、それまでの数キロ、なんでラップタイムが良かったかが理解できた。 追い風だったのである。 折り返した途端に向かい風。 こりゃ、貯金があっても油断できないなと思う。 21〜22qのラップは5:13。 前の1qより10秒落ちたが、向かい風の割には悪くないなと思う。 その後も5:21、5:17と悪くないラップを刻む。 ただ、気持ちは少し焦っていた。 それまでは、気楽に走っていたのだが、向かい風に負けたくないという気持ちからか、自然と体力を使う走りになっていたような気がする。 足に異変を感じたのは、ちょうどこの頃だ。 まだ24q、もう痙攣かと思う。 昔、会社から家まで走ると、だいたいこの距離で痙攣に見舞われた。 だがそれは、練習での事。 青梅は30q走っても、痙攣とは無縁だった。 大丈夫だろうと自分に暗示をかけて走っていたが、やはりこのところの練習不足が影響したのだろうか。 少しペースを落とすことにする。 24〜25qは、5:28。 落としたといっても、これなら十分想定の範囲内だ。 痙攣の原因の一つはエネルギー不足だという。 その先の給水所で、バナナをもらおうかなと思っていた。 手前のほうのテーブルが混んでいたので、その先のテーブルに向かったのだが、バナナが置いてあったのは手前のテーブルだけだった。 いまさら戻って取りに行くわけにもいかず、あきらめて何も取らずに給水所を離れる。 しまったなと思ったが、今日はチョコレートを持っている。 袋から出し、口に入れる。 その後、5:29、5:26と、5:30を切るペースで進む。 27〜28は、再び狭小区間である。 今度は復路側を広く取ってくれている。 往路をこの時間に走るランナーは、もう極端に少ない。 時間的に、21qの関門に引っかかってしまいそうなランナーである。 お陰で、歩いたりすることはなかったが、やはり流れに乗って走るしかなく、この1qは5:46を要する。 次の1qは、また5:25とラップを想定内に戻す。 ところが、一時おさまっていた痙攣の症状が再び出始め、さらにペースを落とす。 ブレーキは避けなくてはいけない。
 30qを通過。 スタートからの時計は、まだ3時間になっていなかった。 想定タイムより5分以上早いことになる。 このままのブレーキ無く走りきれれば、サブフォーは行けるなと思う。 だが、マラソンはこれから先は本番だという。 まだ自分自身、31q以上の距離を連続して走ったことは無い。 未知の領域である。 痙攣対策に、積極的に給食することにする。 30q手前の給水所で、おにぎりをもらって食べる。 給食の影響もあり、29〜30qは5:39、30〜31qは5:35と、それまでより悪いラップ。 ただ、ここから先は5:40/qの想定であり、これなら十分と思う。 給食が無かった31〜32qは5:25とラップを戻したが、アンパンを食べた32〜33qは5:45と、想定ラップオーバー。 それでもその後は5:39、5:40と、何とか想定ラップで走る。 ただ正直、足だけでなく体全体が疲れてきた。 想定ラップに収めるために、無理をしてしまったのかもしれない。 だがもう35qまできた。 あと7q。 残りを6分/qで走っても、サブフォーは大丈夫である。 ここまで来て疲れるのは当然、何とか押していければと思う。 35kmを過ぎると、シャーベットステーション。 行きに通った時は、こんなもの食べるのかなあと思ったが、いまは何かにすがりたい気持ちでいっぱい。 1つ頂くと、スプーンですくって、カップに入ったシャーベットすべてを食べてしまった。 だが、気分転換すれば走れるほど甘いものではない。 身体はかなり限界に来ていた。 周りを見ると、歩いている人が、かなりいる。 それでも自分は、走って前を目指す。 35〜36qに5:52、36〜37qに5:48と、想定ラップで走れなくなってきた。 でも大丈夫、35qで貯金は5分あったはずだ。 6分を超えないラップで走ろうと言い聞かせる。
 38q手前には、土手を上がる急坂がある。 ここを上がると岩淵水門である。 周りをみると、ほとんど全員歩いている。 ずっと平たんなコースの中で、ここだけ急坂だし、気持ちはわかる。 この上り坂を歩いたところで、そうタイムが落ちるわけではない。 だが、自分は上りに強いという自負がある。 こんなところで歩くもんかと、足に力を入れて登る。 だが、それがいけなかったのか、はたまた既に足が限界に来ていたのか、両足の膝の内側の筋肉が攣ってしまった。 まずい、ここまで来て、攣って止まってしまってはサブフォーが遠のく。 ペースを落として、だましだまし走る。 攣りかけた筋肉が元の状態に戻ることは無かったが、幸い悪化することもなかった。 37〜38qは6:08と、遂に6分オーバー。 38〜39qも、下りがあったにもかかわらず5:55。 だが、もうこの落ち込みは仕方がなかった。 攣った足をこれ以上悪化させずにゴールまで辿り着かなければならない。 39〜40qも6:01。 サブフォーまであと17分程度の余裕がある。 よほどのことがない限り、あと2.1qだから大丈夫だろう。 それに、足を攣りかけてからペースは落ちたが、6分/kmのある意味安定したラップを刻んでいる。 ブレーキとは言えない。 大丈夫だ、頑張ろう。
 この頃から、雨が降り出す。 ペースが落ちたこともあり、正直寒かった。 40〜41も6:05と、それまでと同じペース。 大丈夫だ、無理をせずに、このペースを守ってゴールしようと思う。 やがて沿道の応援者が、目に見えて増えてくる。 東北新幹線の電車が見え、やがて遠くにゴールが見えてくる。 41〜42qを5:54で通過。 もうラップなどどうでもよかった。 目の前にはゴールゲートが見える。 何とか足が持ってくれた。 最後は少し加速して気持ちよくゴール。 サブフォー達成である。 途中で時計を停めてしまったので、その時は分単位でしかタイムを把握できなかった。 まあ3時間55〜56分の間かなと思った。 正確なタイムは、公式記録を待つこととなる。

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 さて、これからが大変。 ゴールできたとはいえ、足は本当に限界。 しかし、更衣室は長蛇の列。 仕方なく、立ってズボンをはき替えたが、ふらふらして転びそうだった。 帰りは駅までバスが出る。 だが、バス停まで歩くのすら一苦労。 本当によちよちしか歩けないのだ。 バス待ちの列は長かったが、バスの台数は多く、次々に乗っている。 正直「座りたい」と思った。 次々乗らなければならないので、こればかりは順番である。 が幸い、自分の少し手前で前のバスが満員になり、座れそうな感じとなる。 そして無事にバスの座席確保。 と思ったのだが、座ったら足が攣りそうになった。 何とか我慢して駅まで行く。 幸い、埼京線も座れて、京王線も座って家に帰った。

 もちろんサブフォーを達成した満足感はある。 だが、正直、少しの寂しさを伴っているのも事実だ。 相変わらず膝は痛かった。 この膝の痛みさえなければ。 言っても始まらないことであるが。
 翌月曜日は、筋肉痛よりも膝の痛みが強かった。 が、火曜日になると、筋肉痛が襲ってきた。 座ったり立ったりという動作が辛かった。 座ったら立てず、立ったら座れず、という状態だ。
 膝の痛みは、これから数日が山場となるだろう。 4月には、かすみがうらマラソンが控えている。 だが、これまたベストの状態で臨むのは不可能であろう。 また走って膝を痛くするのか、諦めて来シーズンのために膝を治すことを優先するのか、迷うところである。
 翌日、速報タイムが出た。 記録は3時間55分15秒。 そのタイムから、引き算で空白となったラップを埋めると、以下のようになる。
 
ラップ
スプリット
備考
0km〜1km5:455:45 
1km〜2km5:4411:29 
2km〜3km5:4217:11 
3km〜4km5:4522:56 
4km〜5km6:0829:04 給水
5km〜6km5:2434:28 
6km〜7km5:2439:52 給水(SAVAS)
7km〜8km5:2045:12 
8km〜9km5:1950:31 
9km〜10km5:2655:57 給水
10km〜11km5:101:01:07 
11km〜12km5:151:06:22 
12km〜13km5:371:11:59 給水(SAVAS)
13km〜14km5:141:17:13 
14km〜15km5:271:22:40 給食(バナナ)
15km〜16km5:281:28:08 走路狭小区間
16km〜17km5:191:33:27 
17km〜18km5:021:38:29 給水(SAVAS)
18km〜19km6:331:45:02 トイレ
19km〜20km5:121:50:14 
20km〜21km5:021:55:16 
21km〜22km5:132:00:29 
22km〜23km5:212:05:50 給食(パン)
23km〜24km5:172:11:07 
24km〜25km5:282:16:35 
25km〜26km5:292:22:04 バナナ取れず
26km〜27km5:262:27:30 
27km〜28km5:462:33:16 走路狭小区間
28km〜29km5:252:38:41 
29km〜30km5:392:44:20 給食(おにぎり)
30km〜31km5:352:49:55 食べながら走行
31km〜32km5:252:55:20 
32km〜33km5:453:01:05 給食(パン)
33km〜34km5:393:06:44 
34km〜35km5:403:12:24 
35km〜36km5:523:18:16 給食(シャーベット)
36km〜37km5:483:24:04 
37km〜38km6:083:30:12 急坂区間
38km〜39km5:553:36:07 
39km〜40km6:013:42:08 
40km〜41km6:053:48:13 
41km〜42km5:543:54:07 
42km〜ゴール1:083:55:15 5:10/q 


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 ベストラップとなった21q以降、ゴールへ向けて、ほぼ直線的にラップが落ち込んでいっているのがわかる。 やはり練習不足から、スタミナに問題があったものと思われる。 25qまでは健闘したと言っていいだろう。 25〜30qの落ち込みも想定内だった。 だが、やはりグラフを見る限り、35qの壁があったと言わざるを得ない。 前半の貯金があったからいいようなものの。。
 また、全員の記録をデータベースにして、2分刻みの頻度グラフを作ってみた。 すると、非常におもしろい結果が出た。 分布は正規分布ではなく、どちらかというとワイブル分布。 完走者の平均は、男子一般でだいたい4時間半だが、最頻値は3:58〜4:00となっている。 次いで3:56〜3:58が多い。 みな、いかにサブフォーに向けて頑張ったかがうかがえる。 また、その直後である4:00〜4:02が極端に少ない。 みな、時計を見ながら走っていて、サブフォーが無理とわかった段階で歩いてしまうのではないか。 その傾向は、4:30や5:00のところでも見られる。

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 完走者12,911人のうち、私のスタートは9,894番目。 相当後ろからスタートしたものだ。 ちなみに、抜いたランナーは5,159人、抜かれたランナーは55人である。 いくらなんでも、もう少し前からスタートすべきだった。 自分はIブロックの中でも後ろのほうのスタートとなってしまっていることがわかる。 寒い中待つのが嫌なので、ギリギリにスタートブロックに入った影響もあるだろう。 だが、スタートラインまで歩いて移動するときに、無理に追い越す人が結構いたのもじじつだ。 また、グラフから、明らかに自分のブロックではない所からスタートした人も結構みられる。 これはモラルの問題であろう。 まあ自分は、そういう人については、走り出してから抜かせばいい、と思って気にしなかったが。

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↑各ブロック毎のスタートロスタイムを頻度グラフにしてみた


 ブロックは申告タイム順であるが、それぞれのブロックの人がどの程度の時間でゴールしたかを調べてみた。 自分は、4時間半で申告してIブロックだったが、Iブロックの平均値も中央値も4時間半を超えている。 平均値や中央値を見る限り、自分はDブロックからスタートすべきであった。

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 ただ、平均値や中央値だけではわからないので、積算頻度グラフを書いてみた。 さすがにAブロックの人のゴールタイムは良く、遅くとも4時間でだいたいの人がゴールしている。 しかし、CやDブロックになると、4時間を切れていない人が続出。 恐らく、CやDは、少なくとも3時間台の予想タイムを書いた人たちだろう。 やはり、予想タイムをサバ読んで申告しないと、実態に合ったスタートブロックには入れないようだ。

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